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2006年2月10日 (金)

ロングモーン Longmorn

ウイスキーのブランドおよび蒸留所名として知られているロングモーン。
この名前の由来がゲール語としてあったので、気になって調べてみた。するとおもしろいことがわかってきた。実は、Longmorn のゲール語の解釈については定説と呼べるようなものがなくて、メインには下記の3つの説(4つ目は特定の場所の Longmorn を想定していないと思われるので、カウントしない)があるようだ。それぞれ原出典付きで紹介したので、関心のある方はそちらもみてほしい。

1)ゲール語で”湿地にある教会” 
  Lann Morgrann 
2)ゲール語+ブリソン語の混合で、”モーガン教会もしくはモーガン教区”
  Lann Morgan
3)ゲール語で”聖人の場所”
  Lhanmorgund もしくは Llanmorgund
4)ゲール語で、場所+人名 での解釈とおぼしき事例があげてある
  Longmorn Lann M'Earnain 
  Longmorn Lann MoBharrain
  Longmorn Lann Morgrann   

最も権威ある出典は1)のスコットランド議会がまとめたものであるが、2)にあげた peatfreak のものも蒸留所に関しては、かなりつっこんだ調査をしている模様で信頼度は高い。3)については、ショッピング関係サイトが主に紹介しているようだ。4)については、信頼できるゲール語専門大学による辞書の例である。
1)と2)はどちらでも不思議ないというところだろうか。4)にも1)と同じようなつづりの解釈がある。わたしがつらつらと検索した範囲では、学問的なサイトには、3)の解釈は載っていない(ご存じの方がいらしたらお教えください m(_._)m )。
また、この3)の説が怪しいなぁと感じる理由として、教会や場所という意味の Lann のつづりが、Lhan や Llan となっていること。どっちもゴイダル(Qケルト)なゲール語には見られないつづりのパターンで、Lhan ならピクト語系で Llan ならウェールズ語などで、どっちもブリソニック系(Pケルト語)である。

現時点でどれが正しいという判断を下すのは難しいと思うけれど、わたしは3)の説明でゲール語由来だと信用する理由を持ち合わせていない。この説明ならブリソン語由来だと言われた方がまだすっきりする。

結局、わたしの個人的な結論としては、ゲール語由来なら1)か2)なのだろうということ。でも、ブリソン語由来も捨てきれないってところだ。

原出典を一覧にしておく、上の番号と対応している。
1)This could be "the church at the marsh", from lann and morgrann.
サイト http://www.scottish.parliament.uk/vli/language/gaelic/pdfs/placenamesK-O.pdf

2)"Morgan's Church or Field" Lann (Scottish Gaelic - field or church field) Morgan (Brythonic personal name of a saint).
サイト http://www.peatfreak.com/art-distillery-names-pronunciation.php

3)Lhanmorgund とする例
Longmorn distillery is found between Glen of Rothes and Elgin. Its name is derived from the Gaelic, Lhanmorgund, which means "place of the holy man". This is a reference to the church which once stood there. Prior to the distillery being built in 1895 by James Duff, there had also been a grain mill on the site. R.J.S. McDowell actually considered Longmorn to be one of the top four malt whiskies.
サイト例 http://store.yahoo.com/randalls/rws25708.html

3)の続き Llanmorgund とする例 意味は上と同じ
The name comes from the Gaelic "Llanmorgund" denoting "place of the holy man," as the distillery was said to be on the site of an ancient abbey. The distillery has a disused waterwheel and an old steam engine which still functions today.
サイト例 http://dtcscotch.com/distilleries/longmorn.htm

4)http://www.smo.uhi.ac.uk/gaidhlig/faclair/sbg/lorg.php
 Longmorn Lann M'Earnain  読み方 ランメーナン
 Longmorn Lann MoBharrain 読み方 ランモワラン
 Longmorn Lann Morgrann   読み方 ランモクラン
ここは、ゲール語専門の大学が運営する辞書サイト。

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コメント

さっすがnanbaさま、いつ見ても判りやすく書いていただけました。久しぶりの蒸留所ゲール語講座でしたが、私は2)を押しています。なにより3)は土屋守の説だし(^^♪

私は他の文献の引用などについては出典を書くべきと思っています。あたかも自分の知識のような書き方はアンフェアと考えています。それに少しでもいいので調べてから書いてみると厚みのある内容になるのではないかと思います。

土屋守の本は現在入手できる数少ないモルトについての日本語の解説の本のひとつですが、記述に怪しい点がいくつも指摘できます。出来ればこれを機会に英語のWhiskyの本やHPにもチャレンジしてみてはいかがですか?知識の幅が格段に広がること間違い無しです。英顕3級のPengoでも大丈夫です。みんな頑張ってね(^^♪

投稿: pengo | 2006年2月10日 (金) 12:01

こんにちは。イギリスから戻って参りました。
一週間の旅だったし、帰りはたっぷり眠ることができたので多少の時差ボケ程度で済んでいます。

ウィスキーのブランド名の由来も案外はっきりしないものなのですね〜。

ところで、今回バースとロンドンを訪れましたが、理容室のサインポールは残念ながら一度も見かけませんでした。ロンドンでは訪れた場所があまりに街の中心すぎて理容室自体が見つからなかったです…。ヴィダルとかトニー&ガイ辺りは絶対ポールだしてないし〜。

投稿: eriko | 2006年2月10日 (金) 18:49

Pengoさん
たぶん土屋氏の問題というよりは、蒸留所には、宣伝したい名前があるっていうように感じます。そっちの問題の方が大きいかもよ。あとは、根拠をそれなりに示した方がよいのは、その通りなんだけど、そうもいかないときもあったりするしなぁ。。。
英語の本を読むのは抵抗はありませんが、WhiskyのHPについては、さすがに手が回りません(笑)

erikoさん
ウイスキーのブランドの由来というよりは、地名の由来の問題なのです。モルトウイスキーの場合は、たいてい蒸留所がある土地の名前がつきますから。
これがまた、ピクト語、ゲール語、ノース語、カンブリア語、古・現ウェールズ語加えて英語が影響している上、複数の言語の組み合わせがあるので、解析は結構面倒です。
それと、本来の由来よりは宣伝に適した適当な名前があるので(例えばグレンフィディックが鹿の谷というのは、学問的には間違いだそうですよ(笑) )、さらに解析がややこしくなるっていうわけです。

サインポールを気にしてくださってありがとうございました。そのお気持ちだけで幸せです。

投稿: nanba | 2006年2月10日 (金) 20:29

いやーnanbaさんのことじゃなくて活男さんに一言でした。人のブログでするなーって聞こえてきそうだったけど少し調べればもっといいブログになるのになーと思ってお手本のnanbaブログで書いてしまいました。失礼m(__)m

サインポール博物館に新しい写真は増えませんでしたね。ところでだれか英語圏以外には行かないのかしら?

投稿: Pengo | 2006年2月11日 (土) 01:03

はじめまして。
すごくしっかりとした説明ありがとうございます。
一回読んだだけでは全部解からないぐらいです…
「Lann」という表記がゲール語で、「Lhan」だとブリソン語
1)はゲール語で 
2)だとゲール語とブリソン語
3)だとブリソン語?
難しいですね、これを拝見させていただいていると、自分がいままで読んできたものもうかうか信じていられないです。

Pengo様へ
英語の本やHPはチラッと見た事はあるのですが、日本語すらまともに出来ていないので脳が爆発しそうでした…
ちゃんと勉強しないとダメですね。

ご指導ありがとうございました。
ツッコミ所満点なブログなので、変なところはビシバシ叩いてくださいませ。

投稿: 活男 | 2006年2月11日 (土) 01:52

活男さん ようこそ

ゲールがわかるようになるとウイスキーの名前をパズルを解くようにわかるようになって楽しいですよ。といっても普段使わない(使えない)言語なので、あまりお勧めはできません(笑)。さて、土屋守氏やマイケルジャクソン氏が書いているような蒸留所のゲール語名や、蒸留所自身が宣伝に使っているゲール語由来の名前が妥当かどうかについては、まず下記の2つをご覧になることをお勧めします。
peatfrekのサイトもかなりしっかり調べていますし、スコットランド議会のものは、pdfになっていますので、ダウンロードしておくと便利です。

この二つをみると、例えば、グレンリベットやボウモアですら、定説かなぁと思えてきませんか?

peatfreakのサイト
http://www.peatfreak.com/art-distillery-names-pronunciation.php

スコットランド議会調査のまとめ
http://www.scottish.parliament.uk/vli/language/gaelic/pdfs/placenamesA-B.pdf
http://www.scottish.parliament.uk/vli/language/gaelic/pdfs/placenamesC-E.pdf
http://www.scottish.parliament.uk/vli/language/gaelic/pdfs/placenamesF-J.pdf
http://www.scottish.parliament.uk/vli/language/gaelic/pdfs/placenamesK-O.pdf
http://www.scottish.parliament.uk/vli/language/gaelic/pdfs/placenamesP-Z.pdf

投稿: nanba | 2006年2月11日 (土) 06:47

>活男さん
そうそう、私たちは日本人だから外国の言葉の由来を知るには自分で勉強しないといけません。かなり面倒だし難しいけど興味があることならそれほど苦にならないかと思います。いろいろ知っていると話しの幅が広がること間違いなしです。ちなみに私もゲ~ルゴはまったくわかりません^_^;困ったときはnanbaさんへお願いして解読していただいております。いつもありがとうございます。

投稿: Pengo | 2006年2月12日 (日) 13:21

そうそう、気になる蒸留所の名前があったらお教えくださいな。わたしが調べられる範囲でししかお手伝いができませんが、ゲール語のいい勉強になりますから。

投稿: nanba | 2006年2月12日 (日) 22:21

nanba 様
Pengo 様ありがとうございました。
いままで参考にしていたものが怪しいとなると、まっさらからやりなおしですね(^_^;)


教えていただいたロングモーンを自分なりにまとめて見ました。
その記事でTBとリンクさせていただきました。
宜しければご覧くださいませ。

Pengo 様へ
気になる蒸留所名といわれたらもちろん全蒸留所ですよ~(笑)


投稿: 活男 | 2006年2月13日 (月) 03:35

活男さん

丁寧にまとめられていたのを読ませていただきました。
ゲール語は、日本語で書かれた辞書や解説がほとんどない状態ですから、英語で書かれた辞書、テキスト、ウェブサイトを通じて勉強することになります。ということで、英語からはじめましょう。英語は、きっと活男さんのお役にたちますよ。

# nanba”様”は、なんかこそばゆいので
# ”さん”にしていただけませんか(笑)

投稿: nanba | 2006年2月13日 (月) 08:15

nanbaさまもお勧めの英語ですが、やっぱり海外へ一人で旅立つのが一番良いと思いました。英会話教室も面白そうではありますが、経験に勝る学習はないと思います。なーに、インチキ日常会話なんてすぐにできるようになりますよ(^^♪

投稿: Pengo | 2006年2月14日 (火) 01:56

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 先日、記事にした『ロングモーン』なのですが、 Pengo様から「ロングモーンの意味がちょっと違うんだけど…」とご指摘頂きました。 その後、Pengo様とそのお知り合いのnanba様にロングモーンの意味を教えていただきましたm(__)m そもそもなぜこういう話しになったか...... [続きを読む]

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