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2006年5月28日 (日)

「やってみなはれ みとくんなはれ」

昨日に引き続き山崎蒸留所のショップで買った本の紹介。

  書 名:「やってみなはれ みとくんなはれ」
  著 者: 山口瞳、開高健
  出版社: 新潮文庫 ISBN4-10-111134-0

直木賞作家の山口瞳と芥川賞作家開高健によるサントリーの社史である。恥ずかしながらどちらもサントリーの社員時代にこの賞を受賞されていたとは、いままで知らなかった。
 
わたしは、業界1位があまり好きではなかった。特に理由はないが、いまでもなんとなくトヨタや松下などが好きではない。業界1位で好きだったのは巨人ぐらいなものだ。
国産ビールはエビスビールが好きだし、国産ウイスキーの会社はと言われれば、やはりなんとなくNIKKAが好きだ。また、竹鶴政孝氏が壽屋と袂を分かって創業した歴史や親の反対を押し切り政孝と結婚し戦前の日本で苦労したリタの話など、好きになる理由は沢山あれど嫌いになる理由はない。

でも、この本を読んで初めてサントリーが好きになった。
「陰徳あれば陽報あり」の精神で、苦境にあった人々に名前を知らせることもなく支援しまくった鳥井信治郎のことをちっとも知らなかった。また、社員のことを大事にして、社員の家族の葬儀などをきちんと手配、参列していた信治郎はじめ重役になった人々の立派さを初めて知った。

サントリーとて安穏として業界1位になったわけではない、何度も存亡の危機に陥った。苦労の末に国産ウイスキーがやっと作れるようになり売れるようになった。そして、ウイスキーだけやっていれば、それはそれで儲かったであろうが、敢然とビールに挑んだりするそのスピリッツについて書いてある。そして、「陰徳あれば陽報あり」。そのビールに挑むときも、そっと助けてくれた当時のアサヒビール社長の話なんかも、いい話だったなぁ。

この二人の高名な作家を生み出し、その作家達が断固社員で居続けたいと思わせるような会社であり、社風だったのだ。理由もなく好きではなかっただけだったから、好きになるのは早い(笑)(もちろん、NIKKAは嫌いになったわけじゃないからいままで通りである)。

まだ、読まれたことがなければお勧めの一冊である。Yatte

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コメント

ちょっぴり思うことを。Suntoryの社員である以上、Suntoryに都合の悪い事を書かないのは当然のような気がします。元社員であってもやはり古巣は懐かしいもの。私はSuntoryに関する記述を見た範囲で、いつも不思議に思うことがあります。それは竹鶴氏に関する記述がほとんど無い事です。知っている限りでは蒸留所の場所の選定から立ち上げまで、竹鶴氏の功績は大きいような気がします。しかしそれが正当にSuntoryから評価されているとは思いにくいのですが・・・やはり競合他社になった人の事はいえないのかしら。

投稿: pengo | 2006年5月28日 (日) 15:09

この本はサントリーの社史として書かれたものなのです。社史として載せるのに、都合の悪いことは書いていないでしょう。それでも一読の価値はあると思いますよ。

わたしもなんで竹鶴政孝のことをサントリーの方々がふれないのはなぜかなぁと思います。やっぱりライバルに塩を送ることになるからかなぁ?

先日、ニッカもサントリーも好きだというメインモルトのマスターが面白いことを言ってました。「ジャパニーズウイスキーを作りたかったサントリー」と「ジャパニーズスコッチウイスキーを作りたかったニッカ」ってことなんだと思うって。
結構納得の一言だった。

投稿: nanba | 2006年5月28日 (日) 18:15

堅い社史じゃなくて市販されてしまう社史なんて素敵ですねー。

マスターの言葉はPengoも納得ですね。確かにそんな感じがします。でも、竹鶴氏がしたかった事は本当に出来たのだろうか?スコッティシュにも竹鶴モルトは認められたのか?という疑問はいまだによく判りませんよね。

投稿: pengo | 2006年5月28日 (日) 23:52

ニッカの余市蒸留所は、スコッチモルトウイスキー協会の認定蒸留所に日本ではじめて選ばれたそうですから、それなりには評価されたんじゃないでしょうかね。素人のわたしは、このあたりまでしかわかりません(苦笑)。

投稿: nanba | 2006年5月29日 (月) 19:54

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