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2006年6月21日 (水)

グレンギリー Glen Garioch

Glen Garioch については、発音についてのみ前に一度書いている。今回は、ここまでのスタイルに従って、あらためてまとめ直すことにした。

解釈例
 1)ゲール語で 谷間の荒れた土地 モルトウイスキー大全にはつづりなし
         グレンギリーと読めと書いてある。
 2)ゲール語で、荒れた土地の谷 Gleann Garbhach  グレン ガラハ
 3)ゲール語で、荒れている谷  Gleann Gairbheach グレン ガリヒ

これも、モルトウイスキー大全には、ゲール語の意味しか書いていない。PeatFreak のサイトとスコットランド議会サイトには、ゲール語のつづりが書いてある。
PeatFreak のサイトでは、「荒れた」という意味の形容詞 garbh に場所を表す ach をつけて、Garbhach が元になったとしているのに対して、スコットランド議会サイトでは「荒れていること」という女性名詞に場所を表す ach をつけている。文法的+発音的には、後者が有利である。

さて、前回同様に発音についても記しておこう。まず、少なくても17世紀頃までは、Garioch のch が、きちんと発音されていたという論文を紹介しておく。

http://www2.arts.gla.ac.uk/SESLL/STELLA/STARN/lang/GAELIC/evident.htm

Outside the area in which -o is the normal modern reflex, and has been since the end of our triad of centuries, several other developments are discernible:
(a) the final fricative can be replaced by the homorganic voiceless stop, as in Dalgarnock DMF or Balernock DNB (after -a- had become -o- or concurrent with that change);
(b) in areas which remained Gaelic-speaking much longer and in which English, rather than Scots, tended to replace Gaelic, the change from -a- to -o- occurs in the Scotticised names but the final fricative is retained (Badenoch INV, Garioch ABD, Balloch DNB, Tulloch ROS, Rannoch PER);
(c) Gaelic -ach remains unchanged not only in Gaelic map names but also in such names as The Cabrach BNF or Coigach ROS. (必要な箇所を抜粋)

ゲール語の語尾につく ach がスコット語の地名に取り込まれる過程で、-a や -o のような形になっていったこともあったり ck という発音に変わったりもしたが、ゲール語が話され続けた地域では、-ach が 喉の奥から出す ch の音として残った例がある。それが、アバディーンシャーにある Garioch だと書いてある(その他にも Badenoch、Balloch、Tulloch、Rannoch などがあげてある)。
少なくとも17世紀までと書いたのは、この論文が 1300 - 1600 年代のゲール語とスコット語の交わりの中で地名がどう変化したかを書いているからで、1600年頃まで生き残っていたなら、少なくとも17世紀までは、-ach のゲール語発音が生き残ったと言っても良いと思う。

上記の抜粋の中には入れなかったが、この論文の最初の方に、ゲール語の語尾につく ach がスコット語の地名に取り込まれる過程で、-a や -o のような形になっていったことが書いてある。お暇な方はぜひ読んでほしい。

では、現代ではどうか。必ずしも学術的なサイトではないが、下記サイトには、スコットランド各地の地名をどう発音するかが書いてある。
  http://rampantscotland.com/features/pronounce2.htm
その中で、Garioch のところをみるとやはり次のように書いてある。
  This Aberdeenshire village name is pronounced "Geerie" to confuse visitors. The area around has a large number of Pictish standing stones and cairns dating from 2000BC.

 しかしながら、わたしのゲール語の先生は、Geerich ときれいにゲール語の ch をつけて発音してくれた。先生は Garioch の比較的近くに、森を1万坪ほど所有している地主だったりする(笑)。地元の発音にも詳しいのである。

どっちが正しいかは、現地調査が必要だと思う今日この頃。

原出典
1)谷間の荒れた土地 つづりは示されていない。
  グレンギリーと発音するという記述あり。
  土屋守:改訂版 モルトウイスキー大全(小学館)2002年 P112-113.

2)"Glen of the Rough Ground"
  Glen (Anglicised Scottish Gaelic word for gleann, river valley in mountain or hill country) Garbh (Scottish Gaelic - roughness) ach (Scottish Gaelic - field or place).
  glen GEERie と発音せよとも書いてある。
 http://www.peatfreak.com/art-distillery-names-pronunciation.php

3)Garioch (Aberdeen), Gairbheach
  "Place of roughness". The Battle of Harlaw is known in Gaelic as Cath Gairbheach, "Battle of Garioch".
 http://www.scottish.parliament.uk/vli/language/gaelic/pdfs/placenamesF-J.pdf

辞書サイトは下記をつかった
 http://www.ceantar.org/cgi-bin/search.cgi

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