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2006年6月16日 (金)

グレンファークラス Glenfarclas

蒸留所名のゲール語解読を続けていく。
これは、サッチャー元英国首相が愛飲しているシングルモルトのブランド名であり、蒸留所名であり、地名である。このゲール語の意味については難解で、公式ホームページにもゲール語での説明はない!
  http://www.glenfarclas.co.uk/
しかも、Grantown博物館が発行した Gaelic meanings of Strathspey names という小冊子には、この地名の意味は不明とでている。それをあっさりとマイケルジャクソンとモルトウイスキー大全では、意味が同定してある。この点に注意されたい。

解釈例
1)緑の草原の谷間 モルトウイスキー大全にはつづりはあげられていない
1’)(英語版)Valley of Green Grass これの土屋氏の日本訳が1)だと思う
2)速い流れの谷 Gleann Farghlais グレン・ファーグラッシュ

さて、解釈例である。
1)と1’)は、マイケルジャクソンと土屋氏による解釈であり、例によって、ゲール語のつづりはなく、権威がいうことは信じておけというスタイルで書かれたモノである(わたしはとうてい信じる気にはなれないが)。
また、このサイトでよく取り上げるPeatFreakであるが、これもほとんどの蒸留所のゲール語つづりはあげてあるというのに、この蒸留所に関してはつづりがない。やましいと思われても仕方あるまい。
 下記のように解釈するとマイケルジャクソンや土屋氏や PeatFreak のように解読できるのではないかという手がかりは得た。ちょっとは彼らに感謝されるかもしれない(笑)。
 緑色(形容詞で)というゲール語に glas(グラス) という形容詞をあてる。草地(英語でgrass)には feur(フェーア)という男性名詞をあてて、その属格 feoir(フォー)という形にかえる。すると、Gleann Feoir Glas (グレンフォーグラス)というようにできる。それらしく見える発音とつづりのように見える。

次に、全く違う解釈をしているスコットランド議会サイトの解釈例をあげておく。
下記にも示したように、Gleann Farghlais と書いて速い流れの谷(The glen of the over-stream)という解釈をしている。しかし、簡単ではない。
 まず、英語でいうと over という意味があるゲール語の接頭辞 far- を持ってくる。次に、glas を持ってくるが、現代の意味ではなく、glaiseach のように stream という意味がある単語の元になった glas を持ってくるという手法をとっている。現代の glas は、lock(水門、錠)や緑、灰色というような意味であるが、stream という意味も含めて glas が元になっているからという論法のように見える。
これで正しい解釈であるかどうかはよくわからない。

よくわかったことは、地名でもあるこの Glenfarclas の意味は、学者の間でも議論があるのだと認識しておいた方がよいということ。いちウイスキーライターや蒸留所の人たちの思いで決められる解釈ではないということだ。

原出典
1)緑の草原の谷間
 土屋守:改訂版 モルトウイスキー大全(小学館)2002年 P106-107.

1’)Valley of green grass  ゲール語のつづりはない
 Michael Jackson's Malt Whisky Companion 4th Edition(1999) P142.

1’)つづき  ゲール語のつづりはない
 "Valley of the Green Grass"
 http://www.peatfreak.com/art-distillery-names-pronunciation.php

2)the glen of the over-stream
 Glen Farclas (Banff), Gleann Farghlais "The glen of the over-stream".
 http://www.scottish.parliament.uk/vli/language/gaelic/pdfs/placenamesA-B.pdf

辞書サイトは下記をつかった
 http://www.ceantar.org/cgi-bin/search.cgi

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コメント

キターッ(^^♪悩ましい問題はnanbaさんにおまかせしますっ(#^.^#)

何度も話題に上る謎の土屋訳。それでも彼の功績を褒める人がいるのは間違いないが、果たしてそれでいいのか?

Glenfarclasは英語っぽいし結構簡単にまとまると思っていましたが、意外や意外、謎のままですね。でもいろんな説を丁寧に説明してくれるnanbaさんには感謝しています。面白い訳を今後も期待しています(#^.^#)

投稿: pengo | 2006年6月16日 (金) 00:28

PS:実は今最も関心のあるGlenglassaughに早くコーイと待っています(#^.^#)

投稿: pengo | 2006年6月16日 (金) 00:30

いつもみていただいてありがとうございます。
励みになります。

Glenglassaugh については、早ければ来週後半、遅ければ再来週になります。その前には、Glenfiddich と Glen Garioch という大物もいますし(笑)、Longmornファイナルアンサーっていうのも準備してます。

投稿: nanba | 2006年6月16日 (金) 10:40

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