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2006年6月18日 (日)

グレンフィディック Glenfiddich

Glenfiddich については、前に一度書いている。しかしながら、とても簡単にすませていたので、今回は、ここまでのスタイルに従って、まとめ直すことにした。
http://bailebeag.cocolog-nifty.com/scotland/2005/07/glenfiddichglea_4622.html

以前にも書いたように、ウイスキー本は鹿の谷と紹介していることがほとんどである。また、この蒸留所の出しているウイスキーのボトルには鹿の絵が描かれており、鹿の谷を暗示するような演出もしている。

しかし、以下に示すように鹿の谷という解釈には問題がある。これは蒸留所が主張していても正しいとは限らない例の一つとなっている。

解釈例
 1)鹿の谷          蒸留所公式サイト、モルトウイスキー大全にはつづりなし
 2)フィド(人名)の谷    Gleann Fidach   グレン フィダハ
 3)森がある谷 木がある谷  Gleann Fhiodhaich グレン ユーガヒ

鹿の谷という解釈は、原出典1)にもあげたように、蒸留所の公式サイトにも載っている解釈である。しかし、この公式サイトにもモルトウイスキー大全にもゲール語のつづりは載っていない。
ここでは、蒸留所の主張は、主張で理解しておくことにしよう。

では、次にPeatFreakの解釈を見てみよう。Fid という人名からきた Fidach というピクト人の古い地域名称が由来であるとしたうえで、鹿の谷は商売道具だと言い放ち、蒸留所のゲール語解読を一蹴している。このつづりでは、グレンフィダハと発音される(もちろんハはゲール語の CH である)。

さらに、スコットランド議会サイトの解釈では、Gleann Fhiodhaich と解釈して、森のある谷とか木のある谷という意味だとしている。これなら、発音は グレン ユーガヒとなる(Fh はサイレントのため発音されない、ヒはゲール語の ch である)。このサイトでも同様に、鹿の谷という解釈を批判している。

また、この森がある谷という解釈は、蒸留所の公式サイトでも裏付けがあった。原出典1)にあげた記述をよく読むと後半には、蒸留所を作った当時は、森に囲まれているような地域だった。少なくとも、地名的には要件は備えているということである。

蒸留所がゲール語で由来を主張していても正しいとは限らない。肝に銘じておこう。

原出典
1)鹿の谷 グレンフィディック蒸留所の公式サイトにもゲール語のつづりはない。
  A journey to the home of Glenfiddich makes you appreciate each mouthful even more. "Glenfiddich" means "Valley of the Deer" in Gaelic and, if it sounds like something straight out of a film, being there lives up to all expectations.
  In the heart of the Highlands, surrounded by forest, the ruins of a medieval castle and a natural spring, is a landscape little changed since 1886. That's when Glenfiddich's founder, William Grant, gathered his family of nine children to build the distillery with their bare hands. Around one year later, on Christmas Day, 1887, the first Glenfiddich spirit trickled from the stills. (必要なところを抜粋)
  http://uk.glenfiddich.com/world/distillery/index.html

1)のつづき 鹿の谷
 土屋守:改訂版 モルトウイスキー大全(小学館)2002年 P108-109.

2)フィド(人名)の谷 "Fid's Glen"
  Glen (Anglicised Scottish Gaelic word for gleann, river valley in mountain or hill country) Fidach is a old Pictish province name. Fid is most likely a first name. "The Glen of the Deer" is more a marketing tool :). Note that again the ending ch is pronounced as in the word loch, and not as a hard k sound.
 http://www.peatfreak.com/art-distillery-names-pronunciation.php

3)森がある谷 木がある谷 
  Gleann Fhiodhaich
  "The glen at the wood place". It is often assumed that this name is based on fiadh, "deer", but in fact the root is fiodh, "wood".
 http://www.scottish.parliament.uk/vli/language/gaelic/pdfs/placenamesF-J.pdf

辞書サイトは下記をつかった
 http://www.ceantar.org/cgi-bin/search.cgi

fiadh
a deer, Irish fiadh, Early Irish fiad, Old Irish fiadach, venatio, Welsh gwydd, Breton guez, goez, savage, *veido-s, wild; Old High German weide, a hunt, German weide, pasturage, Norse veidr, hunting; further is Gaelic fiodh, wood, English wood. Hence fiadhaich, wild.

fiodh
wood, so Irish, Old Irish fid, Welsh guid, gwydd, gwydden (sing.), Cornish guiden, Breton gwezenn, tree, gwez, trees, Gaulish vidu- *vidu-; English wood, Anglo-Saxon wudu, Old High German witu. Hence ++fiodhcheall chess play, Early Irish fidchell, Welsh gwyddbwyll, "wood-sense", from fiodh and ciall. Also fiodhag, wild fig, fiodhan, cheese-vat.

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