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2006年7月 1日 (土)

グレンゴイン Glengoyne

これは地名、蒸留所名そしてウイスキーのブランド名である。このゲール語の地名は複数の解釈がある模様であるが、例によってモルトウイスキー大全は、ゲール語のつづりをあげずに一つの説の説明しかしていない。また、なぜか PeatFreak にもスコットランド議会サイトにも解説が載っていない(だから結構苦労したんだよ~)。

しかし、最も注意しなければならないのは、蒸留所公式ホームページでは、「雁の谷」と紹介しており、「鍛冶屋の谷」という解釈を教えられているのは、もはや日本人だけと思われるところである。わたしの解釈などは記憶にとどめておく必要などさらさらないが、公式サイトでは「Glen of the wild geese(雁の谷)」という解釈をしているということは知っておいたほうがよい。

解釈例
1)ゲール語で、鍛冶屋の谷 つづりなし
2)ゲール語で、雁(ワイルドギース)の谷 Glen Guin ゲール語のつづりではない。
3)ゲール語+ブリソニック系ケルト言語で 白の谷(当サイト独自解釈)

さて、1)の鍛冶屋の谷を検証しよう。土屋氏にかわってつづりを当ててある(笑)。Gleann Gobhainn これで、グレンゴインのように発音して、字面上は鍛冶屋の谷という意味になる。Gobhainn は鍛冶屋というゲール語、Gobha(男性名詞、ゴワァもしくはゴアと発音)の属格である。しかし、このような地名かという問題がある。この蒸留所近くには Dumgoyne という有名な山があって、これにもモルトウイスキー大全には、鍛冶屋の丘という意味をあてているが、このような意味をあてているサイトは、英語で検索をかけている限り見つけられない。もし、見つけた方があったら教えてほしい。蒸留所の解釈とも異なるこの解釈で妥当だとサポートする点は、ゲール語の発音がグレンゴインに極めて近いという点のみで、その他サポートするような事柄が見られない点が問題とわたしは考えている。

2)の蒸留所の公式見解であるが、こちらもはななだ怪しいと言わざるを得ない。
 まず、guin がゲール語でどういう意味になるかを辞書サイトから拾った。辞書サイトのB)にあげたように、けがや傷という意味で雁なんて意味でない。では、雁という意味のゲール語はなんだろう。これもC)にあげたように Geadh であるが、属格は Geoidh でゲイと発音されるため、ゴインとは似ていない発音になってしまう。

3)当サイト独自の解釈とは書いたがほとんどが下の参考サイトに書いてあったも同然なので、参考サイトを熟読されたい。このサイトは、Goyneという人名の起源について書かれたモノである。
Guin は、イベリア半島のケルト系言語に由来しているとし、ウェールズ語でもつづりは違うが同様の発音で”白”を意味するとある。そして、後段には、スコットランドのパースシャーに Glengoyne や Dumgoyne という地名があることがかかれ、Glengoyne は以前は Glen Guin として知られていたとある。
これによって、地名にも人名にもつけられた名前だということがわかる。スコットランドには、ゲール族やスコット族がやってくる前に住んでいたブリソニック系言語を話す民族がいたとされているので、このハイランドと境を接する場所にある蒸留所がある場所の地名としては不思議がない。

わたしは、ウェールズ語やブリソン語については、よくわからないが、鍛冶屋の谷や鍛冶屋の丘を何度も検索しても地名として見つからなかった経験と、論理だったこのブリソニック系言語の”白=Guin”からつけられた地名あるいはそれから派生した人名だという説明に賛成して、この解釈を一押しとしたい。

原出典は以下の通り
1)鍛冶屋の谷
  土屋守:改訂版 モルトウイスキー大全(小学館)2002年 P116-117.

2)雁の谷 Glen Guin(これはゲール語のつづりではない)
  蒸留所公式サイトから必要箇所を抜粋
  The distillery, which takes its name from "Glen Guin" or Glen of the Wild Geese, has been producing an exceptional single malt scotch whisky for nearly 200 years.
  http://www.glengoyne.com/scotch_whisky_distillery/distillery_history/

辞書サイト http://www.ceantar.org/Dicts/search.html
A)gobha  nm. g.+inn; pl. goibhnean, smith, blacksmith
B)guin   va. wound, pierce, sting
C)geadh  nf. g.d. geoidh; pl. geoidh, goose

参考サイト http://archiver.rootsweb.com/th/read/GOWEN/2001-07/0994197255
(長いが必要なところを抜粋している)

ORIGIN OF THE NAME
The Goyne name is probably Iberian Celtic, having come to the British Isles from the Iberian Peninsula at some early time. Indeed, that is the tradition of some Goynes in England. Others hold that the name has its origins in the Cymric [Welsh] language, a language similar to Iberian Celtic. The name means "White" in the original language, probably in reference to a person's complexion.
           ~ 中略 ~
The name "White" in Cymric is spelled Gwyn/Gwyne/Gwynn/Gwynne. [Charles Wareing Bardsley, M.A., "A Dictionary of English and Welsh Surnames," Baltimore: Genealogy Publishing Co, 1980 [London, 1901]. The name is said to date to "high antiquity" in Wales, probably dating to the Roman period. [Thomas Nicholas, M.A, Ph. D, F.G.S., etc., "Annals and Antiquities of The Counties and County Families of Wales," Vol. 1, London: 1991, 1872, 1875.]
           ~ 中略 ~
In Stirlingshire, Scotland the westernmost peak of the Campsie Fells is named Dumgoyne [Fort Goyne] Hill. "As the name suggests, there was once an Iron Age fort on the top." [Discover Scotland, The Sunday Mail, p. 678] The Iron Age reached the British Isles about the time of Christ.

An interesting document in Britain confirms the derivation of the Goyne name. After World War II, when Arthur William Tedder, GCB, Marshal of the Royal Air Force, was knighted, he took the title "Tedder of Glen Guin; Guin is now Goyne." [Provided by James N. Scott of Glasgow, Scotland.)
(引用終わり)

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