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2006年12月13日 (水)

Airigh Nam Beist がわたしを悩ませる

これは Ardbeg からだされたモルトウイスキーの新製品。スモーキーなウイスキーな方にはきっと人気になるだろう(もうなっているかも)。

読み方は、ホームページによれば、pronounced 'arry-nam-bayst' とあるので、アリーナムベイストと読むことになるし、ボトルには、pronounced 'arry-nam-baysht' とあるからアリーナムベイシュトのように読むことになるのだろう。ただし、ゲール語のつづり的には後者が正しい発音となるので、ホームページは単純なスペル間違い( h が落ちているだけだし)かもしれない。意味は、ホームページにもボトルにも 'shelter of the beast'とあるので、「その獣の隠れ家」というような意味と思う。

こう書くとなにも悩ましいところはないように見えるけれど、わたしの知っている文法とあわないところがあるのです。

まず単語から。
Airigh 小屋、羊飼いの小屋、隠れ家などの意味。ここでは主格。今回は重要ではない。
Nam  ある条件下で定冠詞付きの属格を表す。~nam~~という形で、その~~の~という意味。
Bèist 女性名詞 単数属格 bèiste、複数形 bèistean。意味は beast 獣。ここでは属格である必要がある。

shelter of the beast というのが英語の意味だとすると、bèist は単数形で属格になる必要がある。しかし、属格形である bèiste になっていない。また、単数女性名詞の属格につく定冠詞は、nam ではなく na なのである(母音で始まる単語なら na h- がつく)。ということで、shelter of the beast に相当するのは Airigh Na Bèiste が、わたしが知っている現代ゲール語のつづりである。
実際に Airigh na Beinne という名前の湖(”その山の小屋”の意)がハイランド北部にはある。この地名は、beinne が山という意味の女性名詞単数形 beinn の属格形でこれらの点(単数、女性名詞、属格、bで始まる)が bèist と一緒なので、わたしがなんで悩んでいるかわかってもらいやすいのではないかと思う。

では、nam を使いたかったらどうなるか。b,f,m,p で始まる単語の複数形に定冠詞付き属格をつけるときには、nam を使うというルールがあるので、bèist が単数形ではなく複数形だったらこれが使えることになる。ただし、この場合には bèist の複数形が必要になる。つまり、Airigh Nam Bèistean のようになるということ。
 実際にそのような地名があって、ルイス島にあるスタンディングストーンに Airigh nam Bidearan という名前がついているところがある。その意味について次のように書いてある。
The Gaelic name Airigh nam Bidearan means 'Shieling (hut) of the Pinnacles'.
pinnacle (頂という意味)が pinnacles と複数形になっているので、(複数のその)頂がある(ところの)小屋という意味になって、複数形の属格の例として、とても理解しやすい。

なぜでわたしが悩んでいたかはわかっていただけたと思う。Airigh nam beist と書いたときには、現代のゲール語文法書とはあわないところがあるってこと。
 1)地名がつけられた時代の定冠詞付き属格の変化は現代と違っている。
 2)アイラ島方言
などの可能性があるが、わたしの実力を超えるところである。
わたしの悩みを解決できる方の登場を待ちたい。

このおいしいお酒を飲みながらゲール語のことを考えるのもまた楽しい。

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