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2007年5月 4日 (金)

”ストーンヘンジの謎は解かれた”

原著が書かれたのは1965年、翻訳が出されたのは1983年という古い本を図書館で見つけて読んだ。どこがスコットランド贔屓に関係しているかと言えば、この本の最後には、カラニッシュのスタンディングストーンについても解説してあったからである。

新石器時代の巨石文明に関してはよくわかっていないという説明をみる。それは、本当だろうか?わたしは、この天文学者が書き、ラグランジェ賞を受賞した物理学者(東大退官後は代ゼミ札幌校の校長だったりしたんでびっくりしたけど)によって翻訳された古い本を読んで、その認識が誤っていたことを感じた。こんなにも明確にストーンヘンジの使用方法に書かれた本が20年以上も前に、原著は40年以上も前に出版されていたのに、知らなかったことを悔やんだ。

この本では、まず、1960年代初頭までに明らかにされていたことがらである建造年代、建造順、作られた穴や配置された石たちの情報を丁寧にまとめている。ストーンヘンジが新石器時代の後半から青銅器時代の極初期の300年ぐらいかけて作られていたこと。
そして、この新石器時代後期の人々は、まずは夏至のときに太陽が昇る方向をしめす石をおいている。また、はじめはよく知られた大きな石を置いていなくて、周りに56個の穴を掘り埋め戻している。これはなぜ?そして、その56個の穴の内側に鍵になる4つの石が置かれている。この4つの石を使うことで、紀元前1500年の頃の夏の月の出と入り、冬の月の出と入りを、極めて高い精度で正確に予測することができたことが、1963年当時のコンピュータで計算されたことが書かれている。
その他にも、56個の”穴”は、月食が起きる中途半端な周期19年+19年+18年=56年からきていると考えると合理的なこと。そして、この56個の”穴”を使うことで、紀元前1500年頃から300年ぐらいはきわめて正確に月食が予測できたことなどが書かれている。
その他にも、よく知られている大きな石が並べておかれている間からは、夏の太陽が沈む方向や、月が出と入りの方向とよく対応していることが記されている。

よくある神秘主義に基づいた酔狂な本ではなく、天文学者がきわめてまじめに計算した結果を記されているのだ。

文字を持たなかった故、彼らがどのような幾何学と天文学を用いていたかは、いまとなってはわからないものの、新石器時代の彼らは、日食、月食、夏至、冬至などについては、現代の我々と似たレベルの知識があったのではないかと思う。

はぁ、久々に読んでいて楽しくなる本であった。

G.S.ホーキンズ著 ; 竹内均訳
単行本: 254ページ
出版社: 新潮社 (1983/01)
ISBN-10: 4106002396
ISBN-13: 978-4106002397

カラニッシュのスタンディングストーンも同様に解析してあった。もし、読んでいなければ一読を勧める。

# 使われなくなった理由は、次のように考えてはどうだろう?
# 300年間はこの56個の穴で月食が予測できるものの、次の300年間では
# 1年ずれ、次の300年では、また1年ずれる。
# そうやって、ずれた結果、使うのをやめた可能性もあるんじゃ
# ないかとわたしは感じた。
 

わたしは、本の内容にも驚いたが、これを読んで不思議な一致に気がついた。

http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pubmed&pubmedid=15309688

以前に、英国の新石器時代をつくった人々はスペイン北部からやってきたという遺伝子解析のことを書いた。上に書いてあるのはその論文のURLである。この論文には、ヨーロッパの大西洋岸にもその新石器時代を英国諸島にもたらした共通の遺伝子が分布することが書いてあるのだ。
そして、この遺伝子の分布と巨石文明の存在場所はとてもよく一致する。これについては、将来もっとおもしろいことがわかってくるように思う。今後を待っていよう。

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コメント

面白いお話ですね。もしかしたら難しい事は考えずにあの位置から日が昇ったからここに一個、今日は日食だったから一個なんて日記風に置いていったのかもしれませんね。難しく考えるより。事実は意外とシンプルかも(^^♪もちろんそっち系の知識はゼロのPengoです。

投稿: pengo | 2007年5月 4日 (金) 12:24

考古学者がもうちょっと物理とかを勉強してみたらって思うのはわたしだけですかね(笑)?

日本にもあるストーンサークルも同じように、暦と天体観測に焦点をあてて解析をしてみるとおもしろいことがわかるかもしれないなどと感じていたりします。

投稿: nanba | 2007年5月 4日 (金) 23:38

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